先日、日本科学未来館で開催中の企画展「マンモス展-その『生命』は蘇るのか-」へ行ってきました。
ロシア連邦サハ共和国の永久凍土から発掘された、約4000年前に絶滅したと言われているマンモスの企画展。
2005年の夏、「愛・地球博」で初公開されたユカギルマンモスの冷凍頭部をはじめ、世界初公開となる「ケナガマンモスの鼻」や、昨年夏、発見された「ケナガマンモスの皮膚」、そして1977年に完全体で発掘された仔ケナガマンモス「ディーマ」などの古代動物たちが冷凍標本がリアルな姿で展示されています。
私は聞きませんでしたが、音声ガイドは人気声優の梶裕貴さん。
約4000年の月日を経て今ここに姿を残す絶滅動物のマンモスを前にしたら、壮大すぎて、色々と悩んでいることがちっぽけでくだらないことに思えました。
そして、温暖化となったからこそ出会うことのできた古代動物たち、今、そのようなことが起きている理由とは…?
一方で、展示された冷凍標本を前に、私の中に芽生えた生命倫理に関すること…とでもいうのでしょうか。
本物か偽物かの区別なんてつかないのだけれど、妙にリアルで、正直直視しづらいものがありました。
多分それは「遺体」にも見えてしまったから。
その冷凍標本は過去の遺産なのか、研究材料なのか、素晴らしい情報のひとつなのか、歴史のロマンの産物なのか、それとも古代動物の遺体なのか…わからなくなってしまいました。
古代の遺体を私も他の方も、写真に撮り、形にしてシェアする。
冷凍標本がその人には何に見えるか、なのだと思いますが、難しい。生命倫理について考えさせられるブースでした。(冷凍標本はとてもリアルなので、ページ最下部に載せますね)。
他にも、発掘調査の現場の映像や、現在の最先端生命科学、マンモスに関する研究についての展示もありました。
100年以上にわたってマンモスに関する研究は続けられており、世界の生命科学に関する研究機関が「.マンモス復活プロジェクト」を立ち上げ挑戦しているそうですが、最新の研究によると、現時点ではこれまでの科学技術だけでマンモスを復活させるのは難しいとのこと。
また、マンモスをはじめとした生命科学研究がもたらす技術革新は、絶滅危惧種の保護やマンモスなどの絶滅種の再生の糸口につながるのみならず、先端医療や食糧問題、地球環境問題などさまざまな分野に役立つ可能性があると同時に、絶滅種の復活については倫理的な問題や生態系への影響など、考えなくてはならないさまざまな課題も存在しているそう。
展示ブースを出たところには特設ショップがあり、マンモスのかわいいぬいぐるみなどが売っていました。糞チョコ…ありそうと思っていたら、やっぱりありました(笑)。
それからマンモスとチェブラーシカのコラボグッズ、マンモスのマトリョーシカもあったのが印象的でした。(協力機関にロシア連邦サハ共和国、サハ共和国科学アカデミー、ロシア北東連邦大学北方応用生態研究所と、ロシアが濃厚だから、かしら…?)
「過去」から「未来」が見えたひととき。「今」という点ではなく、壮大な時間軸を起点とし、色々なことを考えさせられる時間となりました。
「視座を高く」を心がけている今、その幅を広げてもらったような感覚もあります。
ありがとうございました。
【DATA】
企画展「マンモス展」-その『生命』は蘇るのか-
会場:日本科学未来館 1階 企画展示ゾーン
会期:2019年6月7日(金)~11月4日(月祝)
開館時間:10:00~17:00(最終入場16:30)※11月2~3日のみ10:00~19:00
公式サイト:https://www.mammothten.jp/
【冷凍標本】
近年ロシア連邦サハ共和国の永久凍土から発掘された世界初公開を含む数々の古代の動物たちの冷凍標本。冷凍だとリアルです…。
1977年に完全体で発掘された仔ケナガマンモス「ディーマ」(約4万年前)。
注目の、世界初公開となる冷凍標本「ケナガマンモスの鼻」(約3.2万年前)。
世界初公開「ユカギルバイソン」(約9千年前) 、日本初公開「仔イヌ」(約1.2万年前)、世界初公開「ライチョウ」(約1600年前)の冷凍標本。
世界初公開の「古代仔ウマ」(約4万年前/下)と「ケナガマンモスの皮膚」(約3万年前/上)の冷凍標本。