久々に没頭して読んだ本『サードドア 精神的資産のふやし方』。
直感で「読みたい!」と思い、昨年の日本発売直後に図書館で予約していた本が、今になってようやく手元にまわってきて、読書のテンションのタイミングが合ったので読んでみました。
当時目にしたレビューはわりと辛口だった記憶があったので、そこまで期待はしていなかったのですが、本に求める「答え」や「期待」的な何かがなかったのが良かったのか、私は好き。おもしろかったです。
ページ内の文字数がそこまで多くないとはいえ、全456ページを一気読み!気づいたら4時間くらい経っていました。こんなに読書だけに時間を使ったの、本当に久しぶりです。(速読タイプなので、4時間もかけて丁寧に読んだ自分にも驚き)。
この本は、著者であるアレックス・バナヤン氏が大学生のときに、ビル・ゲイツなどのビッグネームにインタビューをして本を出版する「ミッション」のスタートから(この)本を出版するまでを書いた体験記…現代の若者の冒険譚(?)のようなもので、2018年6月の発売後、アメリカでベストセラーとなり、『フォーブス』で「2018年に読むべきキャリア本トップ5」としても紹介されたそうです。
そして、2019年に日本でも出版されました。
読んだ直後のテンションで、今日はこの本の書評…じゃないな、感想を書いてみたいと思います。
『サードドア 精神的資産のふやし方』
アレックス・バナヤン (著), 大田黒 奉之 (翻訳)
本のタイトルにもある「サードドア」とは
「サードドア」とは、著者アレックス・バナヤン氏の考える、成功へ通じる3つのドアの中の1つの概念のようなものです。
【サードドアとは】
人生、ビジネス、成功。
どれもナイトクラブみたいなものだ。
常に3つの入り口が用意されている。
ファーストドア:正面入り口だ。
長い行列が弧を描いて続き、
入れるかどうか気をもみながら、
99%の人がそこに並ぶ。
セカンドドア:VIP専用入り口だ。
億万長者、セレブ、名家に生まれた人だけが利用できる。
それから、いつだってそこにあるのに、
誰も教えてくれないドアがある。
サードドアだ。
行列から飛び出し、裏道を駆け抜け、
何百回もノックして窓を乗り越え、
キッチンをこっそり通り抜けたその先に─―必ずある。
ビル・ゲイツが
初めてソフトウェアを販売できたのも、
スティーヴン・スピルバーグが
ハリウッドで史上最年少の監督になれたのも、
みんなサードドアをこじ開けたからなんだ。
(※冒頭より引用)
この「サードドア」というネーミングはアレックス・バナヤン氏のものかもしれませんが、概念自体は特段珍しいものではないかと思います。作中の登場人物にもサードドア的概念を理解して、そのドアを開けて成功した人たちが何人も出てきます。し、日本でもこのサードドアを通って成功している人はたくさんいるのではないかと思います。
著者アレックス・バナヤン氏について
この本の魅力を伝えるためには、著者についてもご紹介する必要があると思うので、まずは公式(?)プロフィールを。
1992年8月10日、カリフォルニア州ロサンゼルス生まれ。作家。19歳でシリコンバレーの投資家になった大学生。世界最年少ベンチャーキャピタリスト、米国クラウン・パブリッシャーズ史上最年少契約。フォーブス誌「30歳未満の最も優れた30人」、ビジネス・インサイダー誌「30歳未満の最もパワフルな人物」として選出、紹介。キーノート・スピーカーとして各地で講演。アップル、グーグル、ナイキ、IBM、ディズニーなどの著名企業で講演を行う。
運や行動力、忍耐力、しつこさ(書籍内では忍耐力という表現)など、彼のすごいところはいくつかあるのですが、まず初めに特筆すべきエピソードは、医学部進学を目指していた大学1年生のときに、「自分と同い年の時に起業したビル・ゲイツを始め、時代を築いた有名人たちに会いに行ってインタビューをし、それを本にまとめて同世代の人たちにシェアする」というミッションを達成するために起こした行動です。
なんと彼は、資金作りのために試験の前日、テレビのクイズ番組に出場します。そして、勝ち残るために徹夜で勝ち方を調べ、番組を分析して臨んだ結果、見事に優勝して賞品(賞品のヨットは売ってすぐ現金化したので、ほぼ賞金)を手に入れてしまうんです。
つまり彼は、自身の努力と運で、最初にミッションを遂行するための多額の資金を得ているんです。
たぶん、このエピソードがなかったらこの本は色々な意味でできあがっていなかったんじゃないかと思います。
あとは、国の違いというか、文化の違いも大きいと思いますが、(もしくは若さ…?)、「さすがにそれはどうなの?」と思うこともけっこうやってしまっていて、それが吉と出たり凶と出たり…それもすごいです。
ただ、文中に時折出てくる「旅」にも象徴されるように、これはアレックス・バナヤンという成人前後の男の子の冒険譚なのだと思うと、冒険に正しいも間違っているもないので、見方がまた変わってきます。(そう、いくつか酷評を見て思ったのですが、これをビジネス書だと思って読むから恐らく期待外れになるのであって、現代の冒険譚だと思えば楽しい読み物です)。
個人的にはこの本は「幸せな小金持ちシリーズ」などの本田健さんの『ユダヤ人大富豪の教え』などに似ている気がしています。
この本に出てくる著名人・エピソードがある登場人物
実際にアレックス・バナヤン氏が会った人、何らかの接点を持った人をここでリストアップしておきます。けっこうな著名人がゴロゴロ出てきて、「へえ」と思うようなエピソードがあったりなかったり。
個人的に好きなのは、スティーブン・スピルバーグ、トニー・シェイ、ピットブル(ただのファン)、ジェシカ・アルバ、レディ・ガガ(敬称略)のエピソードです。
【エピソードのある登場人物】
スティーヴン・スピルバーグ(映画監督)会って話す
ティム・フェリス(『「週4時間」だけ働く』の著者)電話インタビュー
チー・ルー(マイクロソフトのオンラインサービスのプレジデント)インタビュー
シュガー・レイ・レナード(ボクシングの元世界チャンピオン)インタビュー
エリオット・ビズノー(起業家)メンター、行動を共にする
ラリー・ペイジ(Google CEO)声をかけただけ
トニー・シェイ(ザッポスCEO)1日影の役
ディーン・ケーメン(セグウェイ発明者・発明家)インタビュー
ウォーレン・バフェット(投資家・実業家)バークシャー・ハサウェイの株主総会で質問
ラリー・キング(インタビュアー)インタビューの仕方を教えてもらう
カル・フスマン(ライター)インタビュー・執筆指南
リチャード・ソール・ワーマン(TED創設者)車で一緒になり話す
ビル・ゲイツ(実業家・慈善活動家)インタビュー
スティーブ・ウォズニアック(アップル共同創業者)インタビュー
ピットブル/アルマンド・ペレス(ミュージシャン)インタビュー
ジェーン・グドール(動物行動学者)インタビュー
マヤ・アンジェロウ(歌手・ダンサー・作家・詩人・教授・映画監督・活動家)インタビュー
ジェシカ・アルバ(会社創業者・女優)インタビュー
マーク・ザッカーバーグ(Facebookの創設者)メールのみでニアミス
クインシー・ジョーンズ(プロデューサー)インタビュー
マット・ミケルセン(レディ・ガガのソーシャルネットワークを作る・投資家)メンター
レディ・ガガ(ミュージシャン)スピーチの考案
『サードドア 精神的資産のふやし方』を読んで印象的だったこと
500ページ弱もあるので、最後まで読み切ることができたら、それだけで何かしらの学びや得る物はある本だと思います。(途中で挫折したらわからないけど…)。
魅力的な登場人物が多い
日本でも有名な著名人、初めて知った方含め登場人物が多いのですが、魅力的な方が多かったイメージ。中でも私のお気に入りは起業家エリオット・ビズノー氏です。最初はよくあるギラギラ系の起業家にしか思えず印象は良くなかったのですが、最後まで読むとすーっごく素敵な人って思えました。(ググって写真を見たら、見た写真が合っているか確証はないのですが、たぶんイケメン)。
人との関係性の築き方に気づきがあった
これはアメリカと日本の違いなのか、それとも業界の違いなのかわかりませんが、知り合ってから親しくなるまでの過程がすごく不思議で、「こういうケースもあるのね」という気づき、それから学びがありました。あと、メールなどアポや連絡の取り方も、実際使う機会があるかは別として、コールドメールなど「これは使えるかも」と思えるものがいくつかありました。
やはり「時は金なり」
アメリカの著名人はけっこう早朝から活動している方が多いですが、いくつかそういうエピソードが出てきて、「やっぱり早起きして時間は有効に使おう」と思いました。「STEP2 裏道を駆ける/6.チー・タイム」に出てくるチー・ルー氏。アメリカのYahoo!ショッピングやYahoo!検索の立ち上げや、マイクロソフトのオンラインサービスのプレジデントとしてBingの検索エンジンの開発に関わっていたという彼のエピソードに、私の怠け心は見事に叱咤されました(どうせなら激励もしてほしかった)。
それから、レディ・ガガのエピソード。
当時の記憶があったので、ニュースにもなったその舞台裏で起きていた出来事を知って胸が熱くなりました。このエピソードは、念願のビル・ゲイツのインタビューを実現させたときの話よりも読んでいてワクワク。とても楽しかったです。
ご興味ある方は、実際に本を読んでみてください。
最後までお読みくださり、ありがとうございます。
アレックス・バナヤン氏のようにサードドアを開ける勇気を備え、多くの人と出会い、珠玉の出会いにより人生が今以上に豊かで素晴らしいものになることを願って。