それは、
光も届かぬ家の片隅で、
ずっと、
助けを求めていたのかもしれない。
気づかれぬ涙に、
ずっと、
声なき声で訴えていたのかもしれない。
ある日突然、
それはまだ青さを残したまま、
はらり、はらりと散っていった。
まるで何かに奪われていくように。
最後はすべての無念をぶつけるように、
それはそこで、ぽとりと落ちた。
辺りに赤い情念を残して。
その時初めて、
事の重さに気づいた私に、
一体何を思っただろう。
もう遅い、
遅いの。
そう、突き放しただろうか。
それとももう、
その想いを閉ざしてしまっただろうか。
まだ瑞々しさの残る花弁に
謝罪の言葉が虚しく響く。
理由はあった、
安全のために、
それでも、
スポットライトの中心から
光も目も届かないその場所へ移したことを
きっとそれは恨んでいた。
何もなかったじゃない、
そんな声が聞こえてきそうだった。
ごめんね、
謝罪を遮るように電波が介入してくる。
あの場所であれは確かに泣いていた。
思いを晴らした今でも、きっと。