月はときどき雲に混じって
青い空にあらわれる。
空の青に透ける月は
海の中の海月のよう。
太陽を追って儚げに空を漂う。
自分を隠し
その水色に溶けていくように。
やがて夜が深まり
月は闇に落ちていく。
海の中の海月のよう。
沈みながら少しずつ発光する。
やがて溶けた体を取り戻し
太陽に照らされ光となる。
海の海月は光となって
深海の底で標となる。
空の月も光となって
闇夜を導く標となる。
太陽と対をなし
太陽に照らされて
世界に光を届けている。
いつでも。
どこにでも。
それが夜の月。
昼中はただ
静かに息をひそめる空の海月。