自然の脅威、という言葉があります。
数々の天災に、その言葉の重みを強く感じたこともあります。
でも、仙酔島の自然の中で過ごしてからは、
自然よりも人の心、
人の悪意の方が怖いと思うようになりました。
誰もいない浜辺で海と空と向き合い、
夜、灯りのない本当の闇を知り、
日の出前の薄暗い山道を怯えながら登り、
簡素な地図1枚を頼りにひとり山中をひたすら歩き…
その中で私が得たのは、
雄大な自然に「守られている」、
何の根拠もないそんな感覚。
自然の恐ろしさを知る人は
そんな私を甘いと笑うでしょう。
でも、自然に厳しさはあってもきっと、悪意はない。
人への悪意は存在しない。
人には明確な悪意が潜んでいます。
私にはそのことの方がよっぽど怖く、痛いのです。